平日練習2時間でも県4強 「時短」へ工夫する球児たち(朝日新聞デジタル)

高校野球のモヤモヤを考える

 「完全休養日を入れ、効率的に練習している。しかし、他校は練習しているのに現状でいいのかと悩む」(県央の公立校・監督)=アンケートより

【写真】午後5時15分ごろ、練習を終えて集合する八代の部員たち=18日、八代市永碇町

 長時間の練習を強いる「ブラック部活」の問題化や教員の働き方改革により、部活動の時間を短くする動きが全国で広がっている。一方で、強くなるには長時間練習は避けられないとする意見も根強く残る。

 熊本大会に出場する全チームに朝日新聞が実施したアンケートで、主将に練習時間を尋ねると、平日は3時間台との回答が最も多く23人で、3時間未満としたのは13人。4時間以上という主将は22人いた。休日は平均で6時間40分。最長は10時間で、4校あった。

 選手たちはそれぞれの練習時間をどう感じているのか。主将に「長い/ちょうど良い/短い」の3択で答えてもらった。「長い」と回答した主将は1人。短いと答えたのは22人だった。短いとした理由には「もっと野球がしたい!」「守備と打撃のどちらかしかできない」などとあった。

 熊本県教委は部活動の時間について2015年に指針を出している。練習は平日3時間以内、土日祝日や長期休暇中は4時間以内で、週6日以内を原則としている。

 3月にはスポーツ庁が中学生の部活動時間について、週休2日、上限を平日2時間、休日3時間とするガイドライン案を出し、高校生にも原則として適用するとした。県教委は今後有識者から意見を募るなどして指針の見直しを図るという。行き過ぎた練習を是正するため、練習時間はこれまでよりも短くする方向になると見られる。

 ■休み時間を有効活用して練習時間を確保

 アンケートでは、勝ち上がるためには長く練習することも必要という意見もあった。強さと練習時間の長さは比例するのだろうか。

 「県内で1番練習時間が短い」という八代は、平日2時間の練習で昨年、4強に進出した。

 月曜日を除く平日は授業が7限まであり、練習は午後4時45分から。7時には学校を出なければならず、冬場はさらに早まって6時半下校となる。年5回あるテスト期間前は、部活は原則禁止。朝練も、校則で禁じられているという。

 吉岡龍志主将は「30分でも1時間でもいいから、もっと練習がしたい」と言う。片付けの時間も考えれば、実際の練習時間は1時間半ほど。最低限しかできていないと感じる。

 短い時間を有効利用するため、部員たちは休み時間に靴下などを着替えておき、終わると走ってグラウンドに向かう。練習では空き時間にダッシュをし、走者をつける練習では複数人が走る。ぎりぎりまで練習するため、グラウンド整備も簡単に済ませ、翌日の休み時間にやり直す。

 清崎剛監督は「練習は取捨選択した」という。昨年4強に入ったチームは打撃が持ち味だったため、その練習に時間を割き、春までは守備練習を削った。その後、守備練習も交えて総合力を高める方針に変えた。春の大会では守備にミスが出て失点が増えたが、夏の大会での失策は5試合で一つだけだった。

 ■「何がほしいか聞かれたら、練習時間」

 練習時間の長さは、強さと比例すると思いますか――。この問いかけに対し、吉岡は「基本、比例すると思う」と答えた。ただ、「練習の質が一番大切。だらだらやってもだめだと思う」と付け加えた。昨年の3年生を見ていて、集中し、考えて練習をしていることが、結果につながったのだと感じたという。

 清崎も「何がほしいか聞かれたら、練習時間って答えますよ」と言う。どんなに効率良く練習し、中身を充実させても、練習が1時間少しでは簡単には勝たせてもらえない。ただ、野球は間があって、考える時間がある。試合の中で状況判断がある。「考えられるチームは、時間の差を埋めることもできる」=敬省略(杉山歩)